中学時代は母が他界し
父の愛人だったKさんと同居しなければ
ならなくなりました。
Kさんが出ていった後、高校時代の私は、父に対する怒りと
母が居なくなった寂しさを心の奥深くに仕舞い込み
毎日をすごしていました。
高校三年生の夏休みに、私はアルバイトを
探していました。
いつもよく通っていたショッピングモールのような
ところにある、和菓子屋さんにアルバイト募集の
貼り紙を見つけて、すぐに履歴書を書いて持参
した私。。。
男性の店長さんに面接して頂き、
雇って頂く事になったんです。
研修を受けた後、私が配属になったのは
少し離れた店舗でした。
店長は40代前半の女性
副店長は35歳位の男性
女性の店員さんが一人(20代後半位)
そして、アルバイトの私
合計4人でした。
店長さんは気が強そうで
(メイクもきつかった・・・)
はきはきしていて、怖い印象でした。
副店長は穏やかなおっとりした人でした。
最初の1週間位、仕事を一生懸命に覚えて、
店長やほかの人たちの様子を見ていました。
ランチの時間前になると店長はいつも
自分のポットにコーヒー用のお湯を入れる為、
遠くにあった給湯室まで行っていました。
仕事に少しだけ馴れた頃に私は店長に
「店長、良かったら、ポットにお湯入れてきましょうか?」
と聞きました。
特に何か考えて尋ねたわけではなく、勝手に口から飛び出した
提案でした・・・
こういうのが、天の導きなのでしょうね・・・感謝
私の提案に店長は一瞬考えた後、少しだけ微笑んで
「え、行ってきてくれるの? じゃあお願いしてもいいかな?」
と言いました。
私は「はい、行ってきます」と行ってお湯を入れに行き・・・
それからは店長のポットのお湯は私の担当となりました。
そのお湯の一件以降、店長は私にすごく色々な
話をしてくれるようになりました。
そして、店長は自分が不倫をしていて
家庭のある男性とお付き合いをしている事
その男性の事が好きで好きで仕方ない
のだけれど、どうする事も出来なくて、
会えない時はつらくてしかたがない事
奥さんに対して嫉妬が激しい事
その不倫の相手が同じ会社の役員さんである事
を話したのです。
高校3年生ですよ、私・・・・
店長は強がって生きていたけれど、
寂しくて仕方なかったんです。
アルバイト先で私は
「愛人として生きていた店長の苦悩を聴く」
という役割と出会い、話を聞くたびに父の
愛人だったKさんと重ねていきました。
今から思えば・・・・
店長と話す事で、父の愛人だったKさんを
「多面的に理解する」という学びをしていた
と思います。
そして、その学びを通して、私自身の心の闇を
少しずつ溶かしていけたのではないかな・・・
天からはまるで
「はい、次の学びの機会ですよ、終わったら
レポート提出してね」とでも言われていたのかも
しれませんね・・・・
私は店長を批判するでも、肯定するでもなく
ひたすら話を聴きました。
カウンセリングでいう「傾聴」です。
店長だって、高3の私に答えなんて求めてなかったはず。
ただ気持ちに寄り添って欲しかったんだと思います。
あの時の事をじっくり思い返してみると
愛人でいる店長に対する自分の感情って
本当になくて、
ただありのままの店長が居ただけで、
善も悪も、好きも嫌いもなかったように思います。
店長はそんな風にして話して気持ちを安定させる術
を知っていたから良かった。
知らない人なら、自分だけで苦しみと寂しさに
耐えなければならない。
ところで・・・
皆さんは今、嫌いな人がいますか?
もしいたら、少しだけ想像してみて下さい。
その人と別の出会い方をしてたとしたら
どうかな?って・・・・
その想像の先にほんの少しの思いやりが
芽生えたなら、たとえ言葉にできなかったとしても
それが「愛のエネルギー」ではないでしょうか?
嫌いな人にも愛を向けていく事は
可能だと私は信じています。
そうやっていくと、
嫌いな人自体がいなくなります。
ではまた次の私のストーリーで!!
YUMI